ユアサ商事は、2016年に創業350年を迎えました。当社が長きにわたり商いを続けてこれたキーワードの一つに、企業理念にある「進取と創造」という言葉があります。わかりやすく噛み砕くと「老舗は常に新しい」という考え方になるでしょう。約350年続く「老舗」という看板を掲げていたとしても、昨日と今日、そして明日と同じ状態を目指しているようでは、企業としても個人としても未来はないと思います。変遷する時代や世界情勢とともに、私たち自身も日々変わっていく必要がある。そこには、自ら進んで新しさを切り拓く、創造力が欠かせません。老舗の誇りや歴史を感じながらも、その上で、次の一歩を踏み込んでいく。そうした商人としてのスタイルこそが、歴史を常に刷新し、未来を切り拓いていくことができる要因だと思っています。

では、どのように未来を切り拓くのか。私の経験を踏まえて言わせて頂くなら、まずひとつに「自分のために仕事をしよう」ということがあります。会社のため、ひいては社会のため、と意識を高く持って働くことは非常に結構なことです。でも、まずは自分のために仕事をすることを通じて自分自身の地力をつける、そのことに一生懸命になることが大事だと思うのです。正直な話をするならば、私自身、入社以降の長い時間を自分自身の成長を意識して仕事をしていました。マレーシアでの当社初の事業会社設立や、イギリスへの赴任と海外駐在が長く続いたのですが、現地に赴くことを決めたのも、「自分の成長環境を手に入れる」という意識が強かったように思います。もちろん、当時30代そこそこの若い社員に大役を任せる上層部の懐の深さに感謝をしつつ、一方で、国内ではなく海外駐在でしかできない経験を自分の中に積み上げたいという気持ちがありました。結果、今でも続く人脈や知識、ノウハウの蓄積など、大きく成長することができました。これは私の中に大きな財産として残っています。私の実感値では、ユアサ商事には、必ず誰かが努力を見ているという器の大きさがあります。自分が地力をつけたことや自分自身の成長が、結果的に社会や会社への貢献につながったかどうかは、周りが決めてくれるものです。ひたむきに自分の研鑽に励み、努力したことは、必ず誰かが認めてくれる。ユアサ商事に連綿と続く社風です。

さらに言うなら、「決して逃げない」という姿勢も大切です。営業職をはじめ、我々の商売はお客様と向き合う仕事ですから、失敗やミスをしてしまうこともあります。自分のミス以外の理由でトラブルやクレームが起きることもあります。しかし、そこで逃げるか否かでビジネスパーソンとしても人間としても、成長の度合いが大きく変わってくると思います。私自身もミスによって取引先を怒らせてしまったことがあります。振り返って思うのは、褒められたことより、怒られたことのほうが、より鮮明に記憶に残っているものです。なぜなら、失敗の場面にこそ、多くの学びがあったからです。そこから逃げずに少しずつ挽回していった経験が、今もって続く、私の心の支えになっています。ですから、恐れずにチャレンジしていくべきだと思います。「やらなかった後悔より、やった後悔を」。そういった精神で挑んでいって欲しいですね。

今、申し上げたことを一括りにする意味も込めて、「Growing Together 〜ともに挑む。ともに進む。〜」という言葉を掲げています。私たち会社も、社員も、取引先も、すべてがともに成長していこうという意志をスローガンにしました。昨今、私たち商社の商流も変わりつつあります。従来のように、既存の商品を世の中に広めることから、消費者側の目線に立ち、今、世の中が求めているものを我々が察知し、メーカーに伝え、商品の開発から提案していく。プロダクトアウトからマーケットアウトへ。この機能をより強めていくことが、これからの商社の未来を左右する鍵になる時代に突入していきます。その中で求められるのは、やはりくり返しになりますが、社員ひとりひとりの創造力。これまでの歴史を振り返るのではなく、新しい歴史をともにつくりましょう。Growing Togetherとはそういうことです。変化の激しい時代、これをともに渡りきり、互いに成長していく。そういった精神の持ち主と、これからのユアサ商事をつくっていきたいと考えています。